PLCの問題点の自分なりのまとめ
PLCについてトラックバックがあったので、自分なりにPLCの問題点をまとめ直してみました。
テキスト文書で書いたので、表とかちょっと狂っちゃってますけどなおすのが面倒なのでそのまま貼っておきます。
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PLCの問題点
使用周波数と波長の問題
・使用周波数帯が短波帯であること
短波は電離層反射によって小電力で遠方まで伝達する性質があり、
アマチュア無線、航空無線、船舶無線、短波放送といった主に遠距離の
通信、放送に利用される。電離層という自然現象に依存しているため、
通信の安定度は低く、過酷な受信条件で運用されている可能性が高い。
とくに、航空無線、船舶無線は、遭難時や非常時の通信として使用される
可能性が高く、これらの無線通信に悪影響を与えることは人命に直結する
重大な結果をもたらす危険がある。
また、短波帯は遠距離到達する性質を持つことから国際バンドの異名も
あり、世界各国で合意を取りながら利用しなければならない。
・波長の問題
3~30MHzの短波帯の波長は、100mから10m程度であり、この波長の
長さは、建物の屋内配線の総延長や分岐線の長さと非常に近い長さとなって
いる。このため、屋内配線はアンテナとして電波を放射しやすい性質を持つ
可能性が大きい。
利用時間
・機器の接続用途であることを考えると、PLC対応機器の電源が入っている間中、
常にPLCの信号が送信される。PLC対応機器の電源は電力線から常に供給される
ことを考えると、基本的に24時間常時、PLCの信号が送信されるとみなすべ
きである。
電力線(屋内配線)の線路特性の問題
・屋内配線は伝送線路として見た場合、インピーダンスが整合された伝送線路と
みなすことはできない。また、各戸毎に配線形状が異なり、屋内配線全般を
網羅して伝送線路を評価することは不適当である。
屋内配線がインピーダンス整合された伝送線路とみなすことができないのは、
例えば、壁面スイッチへの分岐、壁面コンセントへの開放端の分岐、3路スイッチ
や4路スイッチ回路の存在、機器のON/OFFによる伝送路の変化、
テーブルタップによる伝送路の分岐、延長などの要因で線路形状が変化する
事があげられる。
電力線を伝播する信号強度
屋内配線を介して伝播するPLCの通信信号は、直接、室内の他の電気製品へ伝わる。
既存のあるいはPLCに対応していない電気製品にとって、PLCの通信信号は
AC電源に重畳されたノイズに他ならない。したがって、PLC非対応の通常の
電気製品が、通常の規制値以上のノイズレベルをAC電源を介して伝わらない
ように対策できるようにしなければならない。
電力線から放射される電磁波の強度
前述した屋内配線の特徴と使用波長の性質から考えると、PLCの通信信号は
屋内配線を介して電磁波として外界に放射される可能性が大きい。
また、屋内配線の線路特性は、各戸で異なるため、PLCの信号電力等で基準を
設けるのは不適である。したがって、各戸個別に屋内配線から放射される
電磁波の強度を測定し、通常の電波を使用する場合と同じ基準で放射電力を
制限するべきである。
LCL(縦電圧変換損)値が、電力線から放射される電磁波のエネルギーと
比例関係(単に正の相関?)にあると資料で記述されているようだが、
一定の特性インピーダンスを持った1:1伝送路を前提するならまだしも、
複数かつ任意の長さの分岐を任意の数もつ屋内配線に対して、そのまま適用
できるのか疑問がある。例えば、PLC対応機器から屋内配線側を見たときに
完全に整合している条件でも、屋内配線の形状が給電線付きの折り返しダイ
ポールアンテナと同一形状となっている場合は、屋内配線の分岐の長さが波長の
1/4に相当するような周波数で、PLC対応機器から送信したエネルギーがほとんど
全て電磁波として放射されることになるはずである。
このように、屋内配線を、途中で特性が変化する分布定数線路、あるいは空中線
として考えて、周波数が変化したときの特性の変化と線路上の位置による電圧電流の
変化をきちんと検討しなければ、放射される電磁波の強度の評価が正しく行えない
ように思われる。
また、PLCで使用する周波数帯域が通常の放送や通信で使われるような狭い帯域幅
によるものではなく、広い周波数帯域をもった信号を使用することを考慮すると、
放射電力はもっとも強い電磁波を放射する周波数における放射強度が、電波規制値を
(あるいは悪影響を与えない基準値を)超えないことを保証するとともに、
周波数帯全体の放射電力全体が電波規制値を超えないことを共に保証するべきである。
上記の点を考慮すると、以下のような規制が適当であると考える。
直接電力線を伝播する信号の強度について
・同一人が管理する範囲(世帯)内で、PLC対応機器を接続する場合、PLC対応
機器が送出する信号強度を直接規制する必要は必ずしもない。(また、そのような
規制を行うことは意味がない)
・同一人が管理する範囲(世帯)内で、PLC非対応機器を接続する場合は、
PLCの信号強度を全てのPLC非対応機器の入り口で、AC電源に重畳するノイズの
規制値以下になるように信号強度を減衰させられるようになっていなければならない。
これを満足するために、PLC非対応機器と屋内配線の間にPLC信号を減衰させる減衰器を
挿入するか、PLC対応装置が送出する信号強度を減らさなければならない。
・同一人が管理する範囲の外側では、あらゆる地点で、特別な減衰器をつけなくても
PLCの信号強度がAC電源に重畳するノイズの規制値以下になっていなければならない。
このため、管理境界で減衰器を挿入して、外部へのPLC信号の漏洩を防ぐ処置を行う。
・PLC対応機器が複数あるときは、個々のPLC機器の信号強度ではなく、PLC機器全体の
信号強度で評価する。例えば、1台のPLC機器からの送出信号が基準を満たしていても、
実際に使用されているPLC機器全体からの送出信号が上記の基準を満たさなければ
ならない。
漏洩電磁波について
・漏洩電磁波は、PLC自体が伝送線路として不適格な屋内配線を使用することを
前提としていることを考えると、電磁波の放射があることを前提とし、また、
人命に関わる重要な通信が行われる可能性のある周波数帯であることを考慮した
漏洩電磁波の規制値とするべきである。
したがって、少なくとも以下の規制が必要と考える。
・放射される漏洩電磁波も微弱電波として短波帯で認められている周波数、
電力以下でなければならない。これは、特定の周波数における制限値と、
電磁波全体の制限値を両方ともクリアしなければならない。
・漏洩電磁波に関しては、同一人が管理する範囲(世帯)内という概念は考えず、
電力線からの距離と電磁波の強度で規制するべきである。これは、屋内配線が
ある建物の中央を通るとは限らず、共同住宅の世帯の境界の壁面を屋内配線の
一部が通ることが十分に考えられるためである。
・PLC信号による漏洩電磁波は、たとえ、同一人が管理する範囲(世帯)内であろうと
短波放送の受信など、短波帯通信に影響を与えてはならない。
これは、漏洩電磁波が、世帯内の短波放送の受信等に悪影響を与えるということは、
隣接する世帯の短波放送などに悪影響を及ぼすことが容易に想定できるためである。
・既存の電波利用設備等に対する障害回避を担保するために、既存の電波利用設備に
影響を与えた場合は、他の無線通信者に課すのと同様に、PLC機器がその障害の原因
出ないことを明らかにするまで、PLC機器の使用を停止することを義務付ける。
・各戸の屋内配線の状況によって、漏洩される電磁波の大きく異なることが予想される
ので、PLC対応機器を設置する際に、その設置場所における漏洩電磁波の強度が
規制値を越えないことを個別に確認しなければならない。
他の通信手段との比較
他の屋内LANの通信手段との比較において、PLCによるメリットがなければ、PLCの利用は
無意味である。他の通信手段とPLCの優劣を比較する。
PLC以外の屋内LANの通信手段としては、Cat5/5E/6のツイストペアケーブルを使用
したもの、無線を使用したものがすでに実用化され、一般的である。
インターネットとの屋外接続用としては、この他に光ケーブル、電話線によるADSL、
同軸ケーブルによるCATVが使用されている。
屋内LANを前提とすると比較する条件としては、通信速度、接続容易性、コストが比較項目
として考えられる。
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| |ツイストペア| 無線 | PLC |
----------------------------
|通信速度 | ◎ | ○ | △ |
----------------------------
|接続性 | △~○ | ◎ | ○? |
----------------------------
|コスト | ○ | ○ | △? |
----------------------------
通信速度
現在利用可能な値と将来の期待値は、以下の通り。
ツイストペアの場合は、1:1接続のため通信容量を占有できる。
無線、PLCは、複数台で通信容量を分け合う利用となる。
ツイストペア:100Mbits/s ~ 1Gbits/s → ??
無線 : 10Mbits/s ~ 50Mbits/s → ??
PLC : 2Mbits/s ~ 14Mbits/s → 45Mbits/s(?)
接続性
それぞれの利点と欠点
ツイストペア: 利点 容易に曲げられるため配線が容易。コネクタによる接続も容易。規格化されている。
HUBで分岐可能。関連機器が安価かつ入手も容易。
欠点 屋内配線工事が必要。中継しない場合、長さ制限100m。(100BaseTXの場合)
無線 : 利点 配線が不要。ツイストペアによる有線と組み合わせることで互いの欠点を補うこともできる。
欠点 混信の問題や電波が届きにくい問題が発生することがある。セキュリティ上の不安。
PLC : 利点 屋内配線工事が不要。
欠点 モデムが必要。
ノートPCではバッテリ駆動時は通信線が別途必要。
ノートPCでACアダプタ使用時は、ACアダプタの電源と別に通信線が必要。
価格
端子からPCまでの接続用のケーブルは除く。
ツイストペア: 端子1箇所あたり8千円程度の工事費。(新築時の埋め込み配線)
インターネット接続のためにルータが必要(1万円~)
分岐のためにHUB(8ポートで3千円~)が必要。
他にネットワークカードが必要。
無線 : 幹線側(ルータ)とPC側のセットで1万円~3万円程度。
PLC : 親モデム ?円、子モデム1万円/台(普及時の予想価格)。
他にネットカードが必要。
無線LANでは電波を通しにくい壁越しに通信する場合に問題を生じる可能性があるが、ツイストペア
ケーブルで壁を越え、その両端では無線LANを使用するといった組み合わせでの利用も可能である。
一方、PLCでは電力線に信号を重畳するため、AC電源を接続すれば通信できるという利点が
示されているが、PLC機能を内蔵した特別な電源を使用するか、機器の電源端子と屋内配線の間に
信号を分離するための装置(モデム)を挿入しなければならない。このため、PLCにおいては
AC電源だけ接続すれば通信可能であるだという利点の主張は、実際の接続形態に即したものである
とはいえない。
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コメント
自宅の新築時のLAN配線費用の見積書が出てきました。
LAN+電話の配管および配線が10箇所で約11万円で、集中ボックス側が約4万円でした。(いずれも工事費込み)
工事時に使用したCAT5Eのモジュラージャックが1個約4000円していましたが、今では定価では2000円程度に値下がりしているようです。
#参考
#ナショナル WTF16216W(マルチメディアコンセント)
#ナショナル WTF7002W(プレート)
松下電工の「ひらいてネット」を使用すると、機材費用は(配管配線を除くと)、集中側と端末側をあわせても1箇所あたり3500円程度で済むようです。
投稿: WA | 2005/11/05 12:37